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賃金が増えない社員

  • 2017-11-14 (火)
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賃金迷路 出世遅れ転職もできず、割を食う団塊ジュニア、「給料伸びぬ社員」比率増。

年功序列の賃金体系が崩れ、今の日本企業では長年働く社員ほど賃金が伸びにくくなっている。転機を迎えているのは40代。バブル期に採用された多くの先輩に阻まれて出世が遅れ、賃金も上がらない。人口構成から「賃金が増えない社員」の比率が上がってきたことが、統計上の賃金が伸びない一因になっている。

空かないポスト
「バブル世代が上に詰まっている。ポストが空かない」。都内のメガバンクに勤める男性がこうこぼす。1970年代前半に生まれた「団塊ジュニア」は今、40代半ば。かつては仕事に脂が乗るといわれた世代の多くが、今は「ずっとヒラ社員」の危機にある。

大和総研によると、2016年に40代で部長に就いている人の割合は2・5%、課長は11・2%。この比率は00年代後半から低下が目立ち、10年前より部長が1・6ポイント、課長は2・6ポイント下がった。全体では部課長の割合は横ばいから微減で、40代が割を食っている。

団塊ジュニアの40代は人数が多く、人件費に占める割合も大きい。「企業はボリュームゾーンの昇進を遅らせて、人件費の削減を図っている」(大和総研の小林俊介氏)。多くの企業は固定費に敏感で、人件費をかけてまでして部課長を増やす気はない。

部課長になっても、給料が増え続けるとは限らない。16年時点で企業の7割は、課長以上の管理職に仕事の中身に応じて給料を決める「役割・職務給」を採用している。99年の2割から大きく上がった。かわりに減ったのが「年齢・勤続給」。仕事で成果を残せなければ、賃金は増えない。

新卒の初任給は少しずつ増えてきた。企業は良い人材を採用するため、「入り口」を飾る。一方で転職を経験せず長く働く40代の社員は賃金が伸びにくい。結果として年齢順に賃金の水準を並べた「賃金カーブ」は傾きが緩やかになる。

バブルの後遺症
第2次安倍政権が動き出した12年12月以降、世代別にみて就業者に占める比率が目立って上がったのは65歳以上と、賃金が伸びにくい45~54歳だ。初任給の伸びにあやかる若手世代の構成比は下がっている。

賃金が伸びない40代。この世代が経験した90年代後半の就職活動は「氷河期」ともいわれ、厳しかった。

そこでやむなく非正規社員になった人は職場内訓練(OJT)によるスキルアップの機会も失った。スキルが乏しく転職できない人たちが、企業の賃上げ意欲を下げるとの指摘もある。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮崎浩氏によると、足元では人手不足感の強い業種ほど賃上げ率が低い傾向にある。「人手が足りない業種に、スキルが乏しく転職しにくい労働者が集まっている。経営者が賃上げの必要を感じていない」(宮崎氏)。日本総合研究所の山田久氏は「賃金上昇を伴う転職が活発にならないと、人材が低収益の事業にとどまる」とみる。

世の中で人手不足といわれても、すでに働く40代の賃上げにはつながらない。バブルの後遺症は、ここにもある。

日本経済新聞

障害者就労

障害者就労、広がる土壌、技能習得施設や業務拡大、来春の法定雇用率上げにらむ。

障害者の雇用を後押しするサービスが広がってきた。障害者の就職を支援する施設を増やしたり、企業がすでに雇っている障害をもつ社員が働く場を提供したりする。2018年4月に障害者の雇用を義務付ける法定雇用率が引き上げられる。企業は対応を迫られており、雇用・就労支援のニーズが高まっている。

10月に東証マザーズに上場したウェルビーは、障害者の就労支援施設を増やす。首都圏を中心に、現在は57施設で就労支援を手掛ける。今後は年5カ所のペースで開設する。大田誠社長は「全国展開を進めていく」と話す。施設では、パソコン作業や電話応対など実務のスキルを習得できる。

職業訓練のLITALICOは、法定雇用率の算定対象に加わる精神障害者向けの就労支援サービスを広げる。拠点数を17年3月末の140から来年3月までに170程度まで増やす。

ジャスダック上場の人材派遣会社、エスプールは、契約先の企業の障害をもつ社員に農作業の場を提供するサービスを拡充。受け入れ数を2倍超の1500人に増やす。企業の「業務を多様化したい」との声に応える。

18年4月に民間企業に対する障害者の法定雇用率が現行の2%から2・2%に上がる。算定対象に精神障害者が加わり、対象企業も広がる。厚生労働省によると、障害者の雇用は増加傾向だが、法定雇用率の達成企業は全体の半数に満たない。

日本経済新聞

副業解禁

政府が年度内に副業解禁へ:長時間労働不安、社会保険はどうなる?

2018年、複業キャリア時代が幕を開ける。

新卒から定年まで生涯1社で働く終身雇用の考え方が大きく変わろうとしている。政府は年度内にも、副業・兼業の事実上の解禁に踏み切る。国がつくるモデル就業規則の副業禁止規定を改定すると同時に、長時間労働を招かないよう労働時間や健康管理の指針を盛り込んだガイドラインの策定にすでに着手。来春、公開する見込みだ。

【11月30日に複業イベント】政府が年度内に副業解禁へ:長時間労働不安、社会保険はどうなる?

今年2017年はソフトバンクやディー・エヌ・エー(DeNA)といった大手企業も副業解禁を発表するなど、これまでになく複業キャリアに注目が集まっている。一方で8割以上の企業が社員に副業を認めていないのが現状だ。ここにきて政府が副業・兼業容認へ舵を切ることで、多くの企業や働き手に影響が予想される。2018年は事実上、日本の複業キャリア時代の幕開けとなりそうだ。.

モデル就業規則改定で容認へ

政府が副業容認に転じる背景には、急速に進む少子高齢化による労働力不足への危機感がある。人口減少時代を迎え、企業サイドでは優秀な人材の獲得・流出防止や人手不足対策につなげたい考えだ。

一方、個人にとっても、人生100年時代を見据えた複線的な働き方や選択肢の多様化が、期待できる。

しかし現状、8割以上の企業が副業を禁止する根拠の一つには、厚生労働省が策定する「モデル就業規則」の存在がある。ここでは原則的に、副業禁止が明示されているのだ。

(遵守事項)第11条6許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。
(懲戒の事由)第62条7第11条、第13条、第14条に違反したとき。
※ 厚生労働省モデル就業規則より抜粋

厚労省の検討会では、この副業禁止の記述を見直し「原則的に副業・兼業を容認」の内容へ改定する方向。モデル就業規則に強制力はないが、これを参考に自社の就業規則を策定している企業も少なくない。国による改定は、多くの企業に自社の「副業禁止規定」の再検討を迫ることなりそうだ。.

不安解消にガイドライン

事実上の副業解禁に伴い、大きな懸念材料の一つとされているのが「長時間労働になるのではないか」という点。正社員ならば1社専業が基本の会社が大半であることから、雇用保険や社会保険についても混乱が予想される。

こうした疑問点や懸念材料について、厚労省は有識者を交えた検討会で整理し、ガイドラインに盛り込む。本業への悪影響や会社の信用・評価に支障が生じる場合は除く、などのルールも明記する見込みという。厚労省の担当者は「副業を禁止していたわけではないが、政府として容認姿勢を明確にすることで、副業・兼業を促していく」と話す。

副業解禁の足音が近づく中、多くの企業が容認へニの足を踏むのはどうしてか。

2016年度「働き方改革に関する企業実態調査」(経済産業省委託事業による日本経済新聞の調べ)によると、副業・兼業を認めていない企業は全体の85.3%、「推進していないが容認」が14.7%。そこでは副業容認への課題として、「本業がおろそかになる」「情報漏えいのリスク」「競業、利益相反」を上げる企業が多い。

副業をしている社員の労務管理はだれがやるのか。長時間労働になって本業に注ぐ気力・体力はそがれないか。ただでさえ人手不足が叫ばれる中、副業解禁の前に懸念は山積しているようだ。
複業OK各社の真意とは

一方、副業解禁に踏み切る企業には、先を見据えた意図がありそうだ。10月に「副業の許可」を発表したソフトバンクは「副業や他社交流の場で得た知見やノウハウを、従来のものと組み合わせることで、イノベーションの創出につなげることが目的」と説明。

2012年から「複業」を認め、推進派の筆頭として知られるサイボウズは、複業環境を前提に中途採用者が増えるなど採用力が高まったという。 青野慶久社長はこれまでの取材で、「自由な働き方を志向する人にはサイボウズは魅力的な職場となり、ブランド力がつく。社員の成長力も高まり、自分で“稼ぐ”感覚が出てくるので、将来、経営人材が巣立つだろうと感じる」と、話している。

大手老舗による副業解禁が話題となったロート製薬は、会社の「許可」は不要であくまで「申告制」。担当者は副業容認について「人生の選択の自由。会社は管理でがんじがらめにするのではなく社員を信じるし、社員にも自立を求める」という。人生の選択肢を増やし、自分らしく働くことで、働き方にとどまらない人生の豊かさを追求する考えが根底にあるという。

人手不足による採用難が深刻化する中、優秀な社員の流出を防ぐためにも、複数キャリアを認めることは不可避となりそうだ。

BUSINESS INSIDER JAPAN

住民税通知書を電子化

住民税通知書を電子化、総務省、紙と選択可能に。

総務省は地方自治体が個人住民税の税額を知らせるために送る紙の通知書を電子化する。これまでは自治体が通知書を勤め先の企業を通じて社員に送付していたが、企業が書類と電子データのどちらかを選択できるようにする。電子化で企業や自治体の負担を大幅に軽減する。自治体や企業のシステムの刷新を見据え5年以内の導入を見込む。

電子化するのは「特別徴収税額通知」という通知書で、税額や給与収入などを記載する。年1回、自治体が勤め先の企業に送付し、さらに企業が従業員に配る。対象者は3700万人にのぼり、企業や自治体にとって送付にかかる事務負担が問題になっていた。

見直し後は企業が電子データと紙の書類を選べるようにする。従業員が書類で受け取りたい場合は、企業が電子データを紙に印刷して渡す。自治体や企業は一部システムの改修などが必要になる。

企業が電子データでの受け取りを求めない場合は、従来通り書類を認める。

日本経済新聞

山形大パワハラ

  • 2017-11-11 (土)
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<山形大パワハラ>センター長「偏差値40」連呼 職員組合が暴言・書き置き公表

職員の机に残されたとされる書き置きなど。センター長の手書きとみられる文字で「ボケが!!」などと記されていた

山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)の職員3人が今年3~5月、センター長の男性教授からパワーハラスメント(パワハラ)を受けたとして相次いで退職した問題で、同大職員組合は9日、センター長が職員に残したとされる侮辱的な書き置き類4枚の画像を公表する一方、職員に浴びせていた暴言の内容を明らかにした。職員は組合を通じ、大学の公式な謝罪を求めているという。

<山形大パワハラ疑惑>関係者証言「知っているだけで10人辞めた」「怒鳴り声にビクビク」

組合によると、4枚は昨年9月ごろ、職員の机の上に置かれるなどしていた。いずれもセンター長の筆跡とみられ、このうち一つはコピー機選定について「誰が選んだ」「ボケが!!」「遅くて使えん」と書き殴られていた。

さらに、筆記具がそろっていないとして職員を「役立たず」と罵倒する書き置きや張り紙の位置が悪いと叱責(しっせき)する書き込みもあった。

職員はこのほか、センター長から繰り返し人前で「偏差値40 偏差値40」と言われ、傷ついたと組合に相談していた。職員は、苦痛を感じたセンター長の発言を可能な限りメモしていたという。

職員は昨年9月、学内のハラスメント防止規程で定められた窓口に相談した後、雇い止めに遭っており、組合はセンター長による「報復の可能性」を指摘。職員は「大学が何の謝罪もしていないのは許せない」と話しているという。

飯豊研究センターでは、はさみを投げ付けられたとする訴えや、退職で生じるセンターの損失を穴埋めするよう多額の寄付を迫られたという声が、退職した職員たちから上がっている。

山形県庁で記者会見した職員組合の品川敦紀執行委員長は「書き置きの画像や『偏差値40』という暴言はパワハラの一端を示す証拠の一部。名誉棄損(きそん)であることは明確だ」と批判した。

センターでパワハラ被害の訴えが続出していることについて、小山清人学長は10月5日の定例記者会見で「パワハラがあれば処分している。処分はしておらず、パワハラは把握していない」と述べていた。

[山形大xEV飯豊研究センター]山形大と山形県飯豊町が整備した国内最先端のリチウムイオン電池研究開発拠点。「xEV」は電動輸送機器の総称で、自動車などに使われる電池の試作工場の機能も持つ。開所は2016年5月。自動車、ロボット関連企業など約50社が研究開発に加わっている。

河北新報

ブラックバイト訴訟

ブラックバイト訴訟 和解成立…全国初 千葉地裁

大手飲食チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」でアルバイトをしていた男子大学生(22)が長期間無休で働かされたなどとして、運営会社に未払い賃金や慰謝料など計約800万円の支払いを求めた訴訟は9日、千葉地裁(小浜浩庸裁判長)で和解が成立した。学生側の弁護士などによると、会社側が解決金を支払い、謝罪する内容。金額は明らかにしていないが、未払い賃金額を上回るという。

運営会社は千葉県成田市の「DWE Japan」。訴状によると、男子学生は同県船橋市にあったフランチャイズ店で2015年4月から120日以上連続で長時間働かされ、元店長や元従業員から暴行や暴言を受けたなどと主張していた。

学生を支援した労働組合「ブラックバイトユニオン」によると、学生が被害を訴えたブラックバイトを巡る訴訟の終結は全国初とみられる。同ユニオンは「良い内容で和解できた」としている。

元店長と元従業員は学生に告訴され、暴行罪などで罰金刑が確定している。

毎日新聞

年金の振替加算

支給漏れ、年金の「振替加算」――妻65歳から上乗せ、定期便で確認できず

公的年金で大規模な支給漏れがあったのは記憶に新しいでしょう。未払いだったのは「振替加算」と呼ばれる年金の上乗せ部分です。元公務員の妻らが対象でしたが、振替加算は会社員の妻も関係する身近な仕組みです。

会社員で妻や子がいると、勤め先から家族手当が支給される場合も多いでしょう。厚生年金(共済年金含む)にも似た仕組みがありますます。夫の年金に加算される「加給年金」です。定年後の世帯収入を補います。

加給年金は、妻が65歳になって自分の老齢基礎年金をもらい始めると、支給が打ち切られます。それに代わって、妻の年金に付くようになるのが振替加算です。加給年金と振替加算はワンセットのようにいわれる上乗せ制度です。

加給年金は原則、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある夫が65歳(以前は60歳、段階的に引き上げ)になったとき、生計を共にする妻や子がいれば支給されます。国民年金にはない仕組みです。妻には恒常的な年収が850万円未満、厚生年金の加入が20年未満という条件があります。

加給年金の金額は夫の生年月日で異なりますが、多いのは年38万9800円(2017年度)です。妻が65歳未満であるという制限があります。このため、姉さん女房を持つ夫には原則、加給年金はありません。

専業主婦の年金加入は1986年3月まで任意でした。中には未加入の期間が長く年金額が少ない妻もいます。それだと世帯の年金受取額が減ってしまう場合があるので振替加算が設けられました。

振替加算は妻の年金として一生支給されます。もらい始めれば夫と離婚してもなくなりません。金額は生年月日に応じて決まっています。最低が年1万5028円(同)、最高が22万4300円(同)。高年齢ほど多額です。86年4月以降に20歳になった人(66年4月2日以降生まれ)には振替加算はありません。

妻が年上だと、夫の加給年金はありませんが、妻に振替加算が付くことがあります。年収など前述の条件を妻が満たせば、夫が65歳になったときから生年月日に応じて加算されます。その時点で妻はすでに自分の年金をもらっているので、新たに振替加算を請求する必要があります。

今回の支給漏れは、元公務員の夫の年金を管理する共済組合と、妻の年金を管理する日本年金機構の連携・処理ミスが原因でした。年上妻の届け出漏れもあったようです。

自分の年金に上乗せがあるかどうかは、年金受給を申請した後にもらう年金決定通知書や年金額改定通知書で確認できます。現役世代を対象とする「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」には書かれていません。夫が年金をもらい始める際の夫婦の関係などが基準になるからです。

上乗せを含む年金制度は「年上の夫が長く会社に勤め、妻は扶養家族という典型的な夫婦を主に想定している」と社会保険労務士の池田直子さんはいいます。そのため、想定された夫婦以外は特に注意が必要です。「自分の場合はどうか気になるなら、年金事務所に相談するとよい」と池田さんは助言します。

日本経済新聞

3%賃上げ企業

  • 2017-11-10 (金)
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3%賃上げ企業、税優遇、自民税調会長が検討、事業承継も促進。

自民党税制調査会の宮沢洋一会長は9日、日本経済新聞のインタビューに応じ、2018年度の税制改正で3%以上の賃上げを実施した企業への法人税減税を検討する考えを示した。企業が賃上げした際に増加分の一部を法人税から控除できる所得拡大促進税制を拡充する。中小・零細企業の代替わりを促すため、相続税などの納税猶予の条件を10年間限定で緩和することも表明した。

自民税調は22日から本格議論に入り、12月14日をめどに18年度の税制改正大綱をまとめる。安倍晋三首相が「3%の賃上げを期待する」と企業に呼びかけたことを受け、法人税の減税措置で後押しする。17年度末に期限が切れる「所得拡大促進税制」の拡充・延長で対応する。宮沢氏は「今の制度の延長線で何ができるか考えるのが現実的だ」と指摘。「数字を超える努力をした企業にどういう恩恵がいくかを考えていく」とも述べた。

現在の仕組みでは大企業の場合、2%以上の賃上げを条件に給与支給額の増加分の一部を法人税から差し引ける。税制改正では3%以上の賃上げ率で対象を絞り込み、税額控除できる割合を広げる案を検討する考えだ。

中小・零細企業の代替わりを促すため、相続税や贈与税の納税猶予制度である「事業承継税制」の充実にも意欲を示した。宮沢氏は「10年間で徹底的な世代交代をはかる」と言明した。

事業承継税制は発行済み株式の3分の2について8割まで納税を猶予する仕組み。5年間、雇用の8割を維持することなどを条件とする。この制度を使いやすくするため雇用維持条件の10年限定での撤廃を検討する。

日本経済新聞

年金控除

年金控除、富裕層縮小も、所得税改革、自民税調が幹部会合。

自民党税制調査会は7日、党本部で非公式幹部会合を開き、2018年度税制改正の主要テーマについて議論した。論点の一つが所得税改革で、高額な所得を得ながら年金を受給する高齢者の税控除の見直しや、働き方の多様化に即した税制のあり方などを検討する。ただ富裕層に過度な負担を強いるとの慎重論もあり、曲折も予想される。

幹部会合の開催は9月26日以来。この日は12月中旬の与党税制改正大綱決定までの段取りを確認、11月22日から本格的な議論に入る。

自民税調は衆院選での与党圧勝を受け、所得税改革に踏み込む機運が高まったと判断した。格差是正に向け、所得が多いほど税負担の軽減効果が大きい「控除方式」の見直しや、所得の多い高齢者の年金に対する課税強化を議論する見通し。幹部会合では「所得税改革は今年の税制改正で一定の結論を出さないといけない」との意見が出された。

焦点の一つが年金受給者の年金にかかる控除のあり方だ。年金への控除は基礎年金や厚生年金、企業年金などを受給した際の課税所得を圧縮するもの。働く高齢者が増え、高額な報酬を得ながら年金を受け取る高齢者も増えており、給与にかかる控除と年金にかかる控除の「二重取り」の問題が指摘されている。

もともと年金への控除は経済力が衰える高齢者の負担を軽減するのが狙いだ。ところが年金を得ながら高額な所得を得る人にも控除が適用されており、高所得者に過度の恩恵が及んでいるとの指摘が出ている。

賃上げを実施した企業に対する法人税減税も検討課題とする。安倍晋三首相が10月末の経済財政諮問会議で「3%の賃上げが実現するよう期待する」と述べたことを受け、自民税調でも賃上げ率が高い企業への税優遇を検討。企業全体への法人税率の引き下げではなく、現在もある賃上げ企業への優遇策の拡充をはかる。生産性を高めるための投資減税も検討する。

中小企業向けに、事業承継を後押しする税制優遇策にも力を入れる。高齢の経営者の代替わりを促すため、相続税や贈与税を納税猶予する事業承継税制の特例を検討する。現在、雇用維持などを条件に発行済み株式総数の3分の2について8割まで納税を猶予する仕組みがある。これを10年間の特例として条件緩和する策が浮上している。

日本経済新聞

働き方改革

働き方改革、産業医が後押し――制度改正で役割拡充、不調社員の情報、収集可能に(医療健康)

企業内で労働者の健康を管理する「産業医」制度を巡り、国は今年6月、20年ぶりの大改正を実施した。電通社員の自殺問題などを受け、長時間労働やメンタルヘルス不調への対応を強化した。産業医は情報収集などの権限を与えられ、働き方改革の後押しを求められる。だが大企業では業務量が多く、産業医だけでは対応できないケースも。産業医がいない中小企業も多く、なお課題が多い。

「お仕事はいかがですか」「朝から元気というわけではないですが、電車に乗りたくないなどの感情はありません」。三井化学(東京・港)の健康管理室を訪れた40代男性職員は1年前に精神面の不調を訴え、治療を開始。投薬は中止したが、産業医面談を定期的に受け、「朝のウオーキングも続け、体調は安定している」とほっとした様子だ。

精神面の相談増加
大手化学メーカーとして有害物質対策が重視されている同社で1991年から産業医を務める土肥誠太郎・健康管理室長は「化学物質対策も重要だが、業務のほぼ半分は従業員のメンタルヘルス対応。産業医を始めた当初に比べて大幅に対応が増えた」と話す。

産業医は38年の工場法改正で大規模工場に「工場医」の選任が初めて義務付けられた。72年制定の労働安全衛生法で「50人以上の労働者」がいる事業所に選任義務が課され、96年には企業側に改善を求める勧告権が産業医に与えられた。

産業構造の変化でホワイトカラーが増加すると過労死や精神面の不調などが社会問題化。社員の健康管理で生産性を高める「健康経営」の考え方も普及し、産業医の役割は大きく変遷した。

官民が働き方改革を進める中、厚生労働省は今年6月、労働安全衛生規則を大幅に改正。企業に対し、残業が月100時間超の労働者の氏名などの産業医への報告を義務化した。

報告を受けて産業医が健康診断やストレスチェックで異常が見つかった従業員の労働時間・内容などの情報を求めたら、企業が提供する義務も新設。産業医から改善策などの「勧告」を受けた場合、労使でつくる安全衛生委員会に報告する義務も加わった。

厚労省の「産業医制度のあり方に関する検討会」の委員も務めていた土肥室長は「産業医の権限と役割が拡充され、明確化した」と改正を評価する。一方で「業務量は増え、複雑化し、責任も大きくなる。非常勤の嘱託産業医などが十分に対応できるよう、バックアップが必要だ」と訴える。

電通社員の自殺問題など過労自殺は後を絶たない。「働き方改革」を掲げて法改正を目指す政府は、柔軟な働き方ができる体制整備とともに、過労とならないように体制を整備することも喫緊の課題だ。

チーム対応が重要
「産業医だけでなく保健師、看護師などによるチームでの対応を促すべきだ」と話すのは東京工科大医療保健学部の五十嵐千代教授。がん治療などと仕事を両立したり、休職後に復職を目指したりするケースでは「医師が最終的に医学的判断をするにしても、本人の希望や家族関係などを丁寧に聞き取り、職場の上司や同僚と細かく調整する作業は医師だけでは困難だ」と指摘する。

特に専従の産業医が常駐する大企業と異なり、開業医や勤務医と嘱託契約を結ぶ中小企業では「ほとんど会社に顔を出さない産業医もおり、十分なケアが提供できない恐れもある」と強調。法令上は保健師や看護師の選任義務はないが、「産業医と他の専門職がチームを組むことで、産業医の役割拡大にも対応できるようになるはず」として、チームでの対応促進を求めている。

1割超の事業所が未選任
労働安全衛生法は労働者50人以上の事業所に産業医の選任を義務付けているが、2016年の労働安全衛生調査によると、13・8%が産業医を選任していない。

産業医は日本医師会などが主催する「産業医学基本講座」を修了することなどが要件で、5年ごとに必要な研修を受ける必要がある。現在は約6万人の医師が登録しているが、日医が15年に産業医1万人を対象に実施したアンケート調査では回答した約4100人のうち、実際に活動していたのは約6割の約2500人で、この8割弱は兼業で産業医を嘱託されていた。

調査結果によると、産業医としての活動が業務全体に占める割合は「1割未満」が43・2%にも上り、「1~2割未満」と合わせると、3分の2の産業医は業務全体の「2割未満」だった。10カ所以上の事業所を兼務する産業医も122人(4・7%)いた。

産業医の選任が努力義務にとどまる労働者が50人未満の事業所でみると、実際に選任しているのは3~4割のみ。多くの中小企業の労働者が産業医による産業保健サービスを受けられていない。

厚生労働省産業保健支援室は「努力義務だが、積極的に産業医を選任してほしい」と強調。医師面談などを提供する各都道府県の地域産業保健センターの活用も呼びかけている。

【表】【産業医の役割(労働衛生の3管理)の例】
(1)健康管理
○健康診断、ストレステストなどでの健康状況の把握、保健指導による予防
○長時間労働者の面接指導や健康保持のための措置
○治療と仕事の両立支援
○休職者の復職支援
○生活習慣の改善、健康指導
○母性保護
(2)作業環境管理
○ガス・粉じんなどの有害要因の測定、除去
○気温、室温、騒音などの測定、管理
(3)作業管理
○化学物質や熱源を浴びたり吸ったりしないように作業手順を改善
○作業負荷の軽減、作業姿勢の適正化
(厚生労働省資料や取材を基に作成)

【表】【産業医の選任義務と選任率】
事業所〓規模 49人 以下 50~ 99人 100~ 299人 300~ 499人 500~ 〓999人 1000人以上
産業医の選任 努力〓義務     義務〓(専属)
〓義務〓(嘱託も可)   (有害業務に500人以上が従事する場合は専属)
選任率 - 79.9% 95.0% 96.8% 96.7% 99.4%
(注)厚生労働省の2016年労働安全衛生調査より作成

日本経済新聞

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