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正社員不足

正社員不足、過去最高の49.1%に上昇

正社員・非正社員の「不足」割合~時系列~

有効求人倍率の上昇や失業率の低下など労働市場が逼迫するなかで、求職者側では明るい材料となっている。一方で、企業にとって人手不足の状態が続くことで人件費上昇などコスト負担の高まりに直面し、今後の景気回復に足かせともなりかねない。こうしたなか、人口減少と産業構造の変化で、働き手の奪い合いが生じており、アベノミクスの成長戦略を進めていくなかで、人手不足が大きな懸念材料ともなっている。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年10月調査とともに行った。

※調査期間は2017年10月18日~31日、調査対象は全国2万3,235社で、有効回答企業数は1万214社(回答率44.0%)

調査結果

1.正社員が不足している企業は49.1%と5割近くに達した。3カ月前(2017年7月)から3.7ポイント増、1年前(2016年10月)から7.3ポイント増加した。正社員の人手不足は、2006年5月の調査開始以降で過去最高を更新した。業種別では「情報サービス」が70.9%と7割を超え、トップとなった。以下、「メンテナンス・警備・検査」や「運輸・倉庫」「建設」など6業種が6割台となった。不足企業が60%以上の業種は3カ月前より増加し、企業の人手不足感は一段と深刻度を増している。規模別では、大企業ほど不足感が高く、大企業の積極的な採用活動が中小企業の人材確保に大きな影響を与える要因になっている

2.非正社員では企業の31.9%が不足していると感じている(3カ月前比2.5ポイント増、1年前比4.7ポイント増)。業種別では「飲食店」「飲食料品小売」「人材派遣・紹介」「メンテナンス・警備・検査」などで高い。上位10業種中5業種が小売や個人向けサービスとなっており、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高い。正社員と同様に、規模の大きい企業ほど不足感が強くなっているなか、「中小企業」の不足感も一段の高まりを見せている

「情報サービス」は7割超の企業で正社員不足

「TDB景気動向調査」(帝国データバンク)によると、10月の国内景気は、世界経済の回復が続くなか機械や電子部品の輸出が好調だったほか、旺盛な建設投資も加わったことで製造業の景況感は過去最高を更新した。さらに、訪日外国人客の消費拡大や株式市場の活況もあり、国内景気は回復が続いた。

今回の調査では、企業の49.1%が正社員の不足感を抱いている結果となった。とりわけ「情報サービス」では7割超の企業で正社員が足りておらず、さらに「メンテナンス・警備・検査」や「運輸・倉庫」「建設」など6業種でも6割以上に達した。人手不足を感じる企業は一段と広がっている状況が浮き彫りとなった。

また、非正社員では、「飲食店」の8割超が人手不足を感じていた。さらに、「飲食料品小売」が6割を超えたほか、「人材派遣・紹介」や「メンテナンス・警備・検査」、百貨店やスーパー、コンビニなどを含む「各種商品小売」など5業種で5割を超えている。特に、上位10業種中5業種が小売・個人向けサービスとなっており、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高い。

とりわけ、「メンテナンス・警備・検査」と「運輸・倉庫」の2業種は正社員と非正社員の両方で上位にあがっており、雇用形態にかかわらず人手不足が深刻化している様子がうかがえる。

大企業の56.4%が正社員の人手不足を感じているなかで、大企業の積極的な採用活動が中小企業の人材の確保・維持に大きな影響を与える要因となっている。こうしたあおりを受けて、正社員の不足感は小規模企業においても4割以上が不足と感じており、人手不足が従業員数の少ない企業でも深刻化している実態が明らかとなった。

人手不足倒産が増加傾向を示すなか、企業の人手不足は深刻度を増している。景気の回復とともにひっ迫する労働市場において、とりわけ中小企業は賃金上昇による企業収益と人材確保のバランスが一段と大きな経営課題となっている。働き方改革を進めるなかで、経済の好循環を強化することで、中小企業の収益改善へとつながる政策が重要性を増しているといえよう。

帝国データバンク

iPhoneXと違法な時間外労働

  • 2017-11-24 (金)
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「iPhoneX」過重労働、中国工場、鴻海認める、調査を開始、実習生「10月から悪化」、顔認証で生産停滞後に負荷か。

米アップルの最新型スマートフォン(スマホ)「iPhoneX(テン)」。その中国の工場で、学生が社内規則で定めた上限時間を超えて働くなどの過重労働を余儀なくされていた事実が明るみに出た。生産を手掛ける台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は問題を認め調査に乗りだした。「世界の工場」といわれる中国だが、ここ数年は人手不足の問題が顕在化。進出企業は労務管理の責任が厳しく問われている。

「時間外労働は10月に入ってからますます悪化した」。中国中部の河南省、鄭州。世界のiPhoneの約半分を出荷するといわれる鴻海の中国子会社、富士康科技集団(フォックスコン)の巨大工場で従事する学生は記者に明かした。

こうした学生は「実習生」として専門学校などから数千人が駆り出されているという。就業規則では実習生は1週間の労働時間が40時間を超えてはならないと定められている。強制はなかったが土日も働く状況が常態化していたとささやく。

「X」は顔認証で画面ロックを解除する機能を新たに採用したが、部品の良品率が十分に高まらず量産が滞った。鴻海は遅れを取り戻そうと9月後半から一気に生産速度を上げたとされ、結果的に現場に過剰な負荷がかかり管理が行き届かなくなった可能性がある。

別の学生は「インターンを終わらせないと学校を卒業できない」と話した。鴻海の工場での実習が学校のカリキュラムに組み込まれている。鴻海によると、こうした実習制度は「学生に就業の経験を与え、その後の就職を容易にするものだ」とは説明するが「必須の就労経験」は事実上の強制とも言える。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)は21日に同工場で違法な時間外勤務が行われていたと報道した。中国の労働規制でも基本的に労働時間は1日8時間、1週間で40時間を超えてはならないと定める。6人の高校生は日常的に11時間労働をしていると証言しており、FTは違法な時間外労働にあたると指摘した。

鴻海は21日に「週40時間を上限とする社内規則が一部の工場で守られていなかった」と発表し、管理の不備を事実上認めた。既に実態調査と問題の是正を進めており「すべての工場への監督を強め、規則を厳格に順守させる」とした。

実は鴻海による学生の強制労働が明らかになったのは初めてではない。2013年に山東省煙台市のゲーム機を製造する工場で学生に違法労働させていたことが発覚。今年も遼寧省瀋陽市の大学が7月から3カ月間、600人の学生を煙台工場に派遣して実習させたことが問題となった。

ただ、鴻海の強みは中国の政府と一体となった低コストの仕組みだ。米アップルの製品を組み立てると、輸出が増えて税収が増えるため、多くの地方政府は積極的に誘致。鴻海に敷地や建屋だけでなく、従業員の宿舎や通勤用バスも事実上の無償で提供し、従業員の確保も約束する。このため、政府が学生を派遣する仕組みが定着しているのだ。学生なら賃金を安く抑えられる会社側の意図も透けて見える。

中国での低コスト生産で成長した台湾の電子機器の受託製造サービス(EMS)は人件費の上昇で目下、厳しい状況に置かれている。鴻海は「X」の生産遅れと人件費の高騰が響き、17年7~9月期に56%の営業減益となった。同業大手の和碩聯合科技(ペガトロン)や仁宝電脳工業(コンパル)も売上高こそ伸びているが、コスト上昇を補えず大幅な営業減益に陥っている。企業は労働力確保の仕組みの透明性や公正性にも目を配る必要性が高まっている。

〓〓 台湾EMS大手4社の〓17年7~9月期連結業績 〓〓
社 名 売上高 営業〓利益
鴻海精密工業 10,788(微増) 187〓(▲56)
和碩聯合科技(ペガトロン) 3,368(7) 43〓(▲44)
広達電脳(クアンタ) 2,761(23) 48〓(▲19)
仁宝電脳工業(コンパル) 2,316(17) 29〓(▲16)
(注)単位億台湾ドル、カッコ内は前年同期比増減率%、▲は減少
「iPhoneX」過重労働、中国工場、鴻海認める―中国、労働力が減少、高学歴化で。

今回の問題の裏には「世界の工場」といわれた中国の労働力が減少している現実がある。特に若者は農村部も含め大学などに進む高学歴傾向が進んでいるため、鴻海精密工業を含めた中国の製造拠点は労働力の確保に苦労しているのが実態だ。

「最近の5年間で労働力は2000万人近く減少した」。中国人民大学中国就業研究所の曽湘泉所長は指摘する。15~59歳の労働力人口は2011年のピーク時に9億2500万人いたが、毎年200万から500万人近くの規模で減少したため、現在は9億人強。さらに50年には7億人前後まで落ち込むという。

特に15~24歳の青年層が高学歴志向などで減っており、06年の1億2000万人から20年には半分の6000万人まで減少する見通しだ。生活レベルが向上したため身体的につらい作業をさける傾向があり、離職率は30%台後半で推移する。

この結果、賃金は10%前後で上昇するなど人件費の増加にもつながる。鴻海の鄭州工場では工場の従業員が新たな労働者を紹介した時には1000元(約1万7000円)の報奨金を支払うほか、紹介なしで新たに働く労働者には600元を支払うという。

日本経済新聞

パート時給

パート時給上げ、思わぬ人手不足、「年収の壁」自ら働く時間減、流通や外食、営業時間の短縮も。

パート社員の時給増が流通や外食業界の人手不足に拍車をかけている。税や社会保険料の負担で優遇される目安の103万円や106万円といった「年収の壁」に届きやすくなり、働く時間を減らす人が増えているためだ。働き方改革で正社員の残業による穴埋めも難しくなり、営業時間見直しを迫られる店も出てきた。

「この2年で時給が100円くらい上がった。以前は月に17、18日働けたが今は14日くらい」。横浜市のスーパーで働く女性(55)は話す。時給は980円。同じ店で12年働くベテランだが夕方や夜間など人手が足りない時間のシフトに入れない。時給が上乗せされれば社会保険料で自己負担が生じる年収106万円を超えてしまうためだ。

1年の前半に働き過ぎ年末にかけて週4日の勤務を3日にした同僚もいる。職場は人材派遣を利用しながら何とか業務を回している。

厚生労働省の統計によると、卸売・小売業で働くパート社員の時給は2017年1月から1000円前後で推移する。2年前から4%ほど高い。一方、17年平均の月間労働時間は92時間で2年前から3%減っている。

時給が1000円の場合、週4回、1回5時間程度の勤務で、世帯主の配偶者控除(特別控除)が減り所得税の負担が重くなる年収103万円を超える。「年末にボーナスを出すと、辞退する人さえいる」(大手スーパー)

時給を上げない待遇改善で、労働時間を確保する動きも出始めた。オリックスはパート社員向け退職金制度の導入を企業に働きかける。

同社の「選択制確定給付企業年金」はパート従業員が報酬の一部を任意に積み立て、退職時に企業の負担分を加算した金額を受け取る仕組み。月々の収入を減らして年間の労働時間を増やせる。

ドトールコーヒーが9月に導入し、ビアホール運営のキリンシティ(東京・中野)も近く取り入れる。オリックスの三宅規文課長は「問い合わせが多い」と話す。

パート社員による勤務調整は以前からあった。ただ今年は時給増に加え、多くの企業が働き方改革に取り組んでおり「正社員のサービス残業で店を回しにくくなった」(中堅スーパー)。企業は高コストを覚悟して高い賃金でパートや派遣労働者の数を増やすか営業時間を見直すかという選択を迫られている。

阪神地域で7店を持つ地場スーパーのアカシヤ(大阪市)は原則毎日だった営業日を見直し今年8月末、日曜を全店定休日にした。店舗の求人サイトでは「日曜休みで主婦さんも働きやすい」などとうたう。

配偶者控除が減額する基準は2018年、103万円から150万円に引き上げられる。ただ配偶者がいる社員に「配偶者手当」や「家族手当」を支給する企業では、条件を配偶者控除に合わせて103万円以下としていることが多い。社会保険料の自己負担基準となる106万円や130万円の「壁」を意識するパート社員も少なくない。時給増がパート社員の勤務時間を抑制する状況はすぐには解消しなさそうだ。

日本経済新聞

認可保育所の無償化

3~5歳の認可保育所、所得制限なく無償化、政府方針。

政府は21日、人づくり関連政策の柱である3~5歳の認可保育所の無償化について、所得に関係なく一律で実施する方針を固めた。一律無償化には「高所得者に恩恵が偏る」として、高所得者に一定の自己負担を求める声があった。しかし、安倍晋三首相が先の衆院選で「すべての3歳から5歳の幼稚園・保育園を全面無償化する」と訴えており、整合性がとれないと判断した。

政府が12月上旬にまとめる教育無償化などを柱とした「人づくり革命」に関する政策パッケージに盛り込む。5歳は先行して2019年度に無償化し、20年度は3~4歳に対象を広げる。政府は3~5歳の保育園と幼稚園の無償化に8千億円を見込んでいたが、認可保育所の一律無償化で膨らむ可能性がある。

認可保育所の保育料は一般的に認可外より割安だが、所得に比例して増える仕組みだ。実際の負担額は住んでいる自治体によって異なるが、高所得世帯の保育料は最大で月10万円程度になることがある。自民党はこうした世帯を含めて一律で無償化すれば恩恵が高所得者に偏ると見て、高い保育料を払う高所得者には一定の自己負担を求める提言案をまとめていた。政策を検討してきた内閣官房でも高所得者には保育料の補てん額に上限を設ける案を検討してきた。

一方、首相官邸内では高所得者に限るとはいえ、認可保育所に通う3~5歳児の親の負担を残せば無償化とは言えず、首相が訴えた公約に反するとの懸念が出ていた。20日の衆院代表質問でも、立憲民主党の枝野幸男代表が幼児教育の無償化について「大切なのは全ての子どもが等しく対象であることだ。親の年収や施設の種類で限定や差異を付けるべきでない」と追及していた。

0~2歳の認可保育所の保育料は、年収約260万円未満の住民税非課税の世帯に限って無償化する。

認可保育所が満員で子どもを預けられず、やむをえず保育料の高い認可外保育所に預けている世帯も多い。認可外保育所向けの負担の軽減措置も別に検討している。

政府は高等教育の無償化も進める。年収約260万円未満の住民税非課税世帯の学生の学費を免除し、返済する必要がない給付型奨学金を拡大する。アルバイトに時間を取られずに勉学に集中できる環境を整える。

政府は消費税収と企業拠出金でまかなう財源2兆円の枠内で幼児教育や大学の無償化を進める。認可保育所を完全無償化して財源が増えた分、高等教育の無償化など他の施策にしわ寄せが来る可能性が高い。無償化政策の恩恵が負担能力がある高所得世帯に偏るのは明らかで、国の財政が厳しいなかで財源の使い道の妥当性への批判が出ることは必至だ。

政府が12月上旬にまとめる政策パッケージには、公明党が公約に掲げた私立高校の無償化も盛り込む。公明は年収590万円未満の世帯を対象に実質無償化を求めており、財源をどのように手当てするかを含めて調整が続いている。

【表】認可保育所の保育料は所得に応じて高くなる
〓〓 国が定める上限額、3歳以上 〓〓
年 収 保育料(月)
生活保護世帯 0円
~ 260万円 6000円
~ 330万円 1万6500円
~ 470万円 2万7000円
~ 640万円 4万1500円
~ 930万円 5万8000円
~1130万円 7万7000円
1130万円~ 10万1000円
(注)実際の利用者負担額は自治体によって異なる

日本経済新聞

 

所得拡大促進税制の見直し

賃上げ・投資で法人減税、政府方針、実質負担25%に、優遇に差、抜本改革先送り。

政府は2018年度税制改正で、賃上げや設備投資に前向きな企業の法人税の実質的な負担を25%程度まで下げるしくみを導入する。高収益にもかかわらず賃上げや投資をしない企業は特別な減税措置を外し、政府が掲げる来年の春季労使交渉での「3%の賃上げ」に誘導する。ただ、賃上げ実現などに向けた部分的な税制の手直しにすぎず、日本の立地競争力強化に向けて抜本的な法人税改革を避けて通れない。

安倍晋三首相が「税制を含む大胆かつメリハリのきいた対策」を指示したのを踏まえ関係省庁が詰めを急いでいる。近く始まる与党の税制調査会で協議し、税制改正大綱に制度設計を盛り込む。

政府は法人実効税率を段階的に引き下げており18年度には29・74%になる予定だ。「実効税率」は基本的に国と地方の表面税率を足し合わせて計算するのに対し、様々な政策減税などを勘案した企業の法人税額が「実質負担」だ。今回の措置で実効税率は変わらないものの、政府の政策目的に沿った企業を選別して実質負担を下げる。

現行の「所得拡大促進税制」を見直す案が軸だ。賃上げした場合に一定額を法人税額から控除するもので、12年度の基準年から基本給に手当や賞与を加えた給与総額が一定割合増えていることなどが条件だ。15年度に中小を含め約9万件の利用があり、2700億円の減税効果があった。

18年度改正では3%以上賃上げした企業の税額控除を増やす方向。さらなる賃上げを促すため基準年を今の12年度ではなく例えば「前年度」などとしてルールを厳しくし、適用企業を絞り込む。

設備投資を増やした企業の減税も検討する。投資額が前年度に比べ増加した場合などを想定するが、機器の更新時期によって投資額が増減したり業界ごとの特性が強く出たりするといった問題もあり、制度を詰める。

課税所得が100億円の企業の場合、国と地方合計の法人税額は30億円弱だ。仮に25億円になれば税負担が2割近く減る。賃上げや投資によるコスト増をどこまで減税で相殺できるかが経営者の判断を左右しそうだ。

賃上げをしない企業に対するペナルティーも導入する。一定の条件を満たした企業の税を優遇する租税特別措置(租特)の一部を見直し、目標に達しなければ適用できなくする。

例えば研究開発費用の一部を税額控除する租特は製薬会社や輸送機器などの製造業9千社が利用している。同様の企業向け租特は100件弱で、これらが適用されなくなると実質的に法人の税負担が増す可能性がある。

ただ一時的な業績悪化などで賃上げできない企業で税負担が増すとさらにリストラが加速する恐れもあり、具体的な制度設計で課題は多い。

中小企業への税優遇も拡大する。新規に導入した機械などには固定資産税が0・7%かかるが、これを18年度から3年間ゼロにする。16年度に1・4%から税率を半減したが、さらに深掘りして設備投資を促す。

日本経済新聞

国民年金の簡素化

国民年金、海外転居に伴う手続き簡素化。

厚生労働省は自営業者らが加入する国民年金で、加入者が海外に転居する場合の手続きを簡素にする。これまで必要だった保険料を引き落とす預金口座の申請を原則、いらなくする。国民年金法に基づく省令を改正し、2019年から見直す。

国民年金は、加入者が海外に居住地を移す場合は任意加入になる。加入し続けるには自治体への手続きが必要だ。この場合、いまは関連の書類と銀行口座の申請書の2種類がいる。同じ口座から保険料を引き落とす場合でも申請書が必要で、自治体側の事務負担が重いと指摘されてきた。効率化につなげる狙いだ。

厚労省によると、海外転居などで任意加入制度を活用する人は16年度時点で約21万人いる。加入者の利便性向上にもつながると考えた。

日本経済新聞

月150時間とする36協定

労基署から是正勧告 医師確保、難しく 学生の少なさなど背景に /岐阜

国で働き方改革の議論が進む中、労使協定で定めた上限時間を超えて医師を残業させていたとして、岐阜市民病院(岐阜市鹿島町)が昨年11月、岐阜労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが明らかになった。問題の根本は医師不足だが、医師の確保は容易に進まない。

同病院で複数の医師が時間外労働に関する協定(36協定)で定めた月100時間の上限を超える残業をしていた。岐阜労働基準監督署の昨年11月の調査で発覚。是正勧告を受け病院では今年5月、上限を月150時間とする協定を結び直した。

厚生労働省が定める過労死ライン上限月80時間を一層超過する内容。違法残業は形式的にはなくなるが、医師の健康への脅威は高まる。そうしなければ業務を遂行できない現場の過酷さを物語る。

医師不足の背景の一つに、養成機関が県内に岐阜大医学部しかないことが挙げられる。

県健康福祉部によると、県は2008年度から同学部の学年定員90人中、県内出身の高校生10人を別枠で入学させる「地域枠」を設け、卒業後11年間の県内勤務を条件に給付型奨学金制度を整備した。枠は順次増員され、15年度以降、定員110人中28人となり、6年間で1人計1070万円の奨学金を支給。現在、この制度で育った学生が医師となる時期を迎えている。

県は02年まで、10万人当たりの医師数が141・1人と47都道府県中44位だったが、14年は同202・9人(37位)に増えた(この間の全国平均は同176・6人から同233・6人に増加)。施策の効果が表れつつあるが、同学部の当初の学年定員80人が全国的にも少数だったことが今も響いているとの指摘もある。

偏在もある。県によると14年現在、医師が最多なのは岐阜地域の同266・7人(岐阜市は383・9人)、最少は中濃地域の同146・7人。全国平均は233・6人で、市民病院のある同市は数字だけを見れば全国平均を大きく上回っている。実際、病院を運営する市の担当者も「市全体の予算が抑制されるなか、市民病院は正規職員を増やし予算も増えている」と話す。

にもかかわらず医師は不足している。市民病院や県などによると、医師確保にはさらに(1)勤務環境が過酷か(2)専門医資格取得のための環境があるか(3)(研究のための)症例が豊富か--などの要件があり、これらが充足されないと医師は集まりにくいという。

毎日新聞
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テレワーク

働き方改革、時間より場所――自宅や外出先で仕事、生産性1.6倍の試算も

政府は生産性革命を掲げ、設備投資や人材投資を促す。だが工夫次第で生産性はぐっと高まるかもしれない。自宅や外出先など、勤務先以外で働く「テレワーク」を導入した企業の労働生産性は導入していない企業の1・6倍という調査もある。働き方改革で労働時間の短縮を進める企業は多いが、働く場所も注目されてきた。

「きょうは最高気温が35度超になるのでテレワークを推奨します」。8月9日、ソフトウエア会社のインフォテリアは全社員にLINEなどで一斉に通達した。その日、社員の3割ほどが出社せず、在宅で勤務した。

さらば「痛勤」
社員が週に何日テレワークにするといった具合に決めるのが一般的なやり方だが同社では台風や大雪のときなど柔軟に取り入れている。サイト運用を担当する30歳代の社員は「案件の進捗状況や子どもの体調不良などで当日急にテレワークにすることもある」と話す。

「テレワーク」は耳慣れなくても「在宅勤務」ならピンとくる人も多いだろう。子育て中の社員の働き方として注目されたが、適用範囲を広げると企業にも従業員にもずっと多くのメリットがあることがわかってきた。

総務省の2016年度の調査ではテレワーク導入企業の労働生産性は導入していない企業の1・6倍になるという。実際、導入企業の9割が効果が実感できたとしている。

スタンフォード大学が、中国の旅行会社のコールセンター1万6千人を対象に9カ月間かけた調査では、テレワークはオフィスワークよりも13%仕事のパフォーマンスが上がったという。病欠などが減り、快適な環境が仕事をはかどらせた。

都心では「痛勤」と表現される通勤の肉体的・時間的な負担をなくせる点が大きい。通勤で体力を消耗することなく、仕事に集中できる。

企業の経営左右
3年後の東京五輪の開会式をにらみ、今年7月24日、922の企業・団体の約6万3千人が参加し、テレワークを一斉実施した。携帯電話の電波動向をもとに東京都心部の人口を調べると午前10時台で豊洲地区では同月平均より15%ほど少なかった。

日本生命保険は21年度から定年を65歳に引き上げ、国・地方公務員も同じように引き上げを検討している。人手不足で将来は定年は70歳代になるとの指摘もある。柔軟に働けるかは企業の経営をも左右する。

「テレワークの日」に参加した100人以上の企業の44%は情報通信系で、導入業種の偏りが大きい。米国の調査では柔軟な勤務形態の企業の割合は米中が61%、日本は20%だ。立ち遅れている分、生産性を高める大きな伸びしろが眠る。

消える社内立ち話
総務省、課題も指摘
いいことずくめに見えるテレワーク。日本テレワーク協会の今泉千明主席研究員は企業が心配する労務管理にも「テレワーク導入後の企業ではあまり問題になっていない」と話す。

ただ、会社側の労務管理や評価制度が整っても働き手が不安や孤独に陥りやすいという。会社からの用事や業務でのメールや電話はあるが、同僚とたわいない話をしたり情報交換をしたりする機会が非常に乏しくなる。コミュニケーションの不足や欠如が、個人の労働生産性を下げるという指摘もある。

「喫煙所やトイレでの立ち話で仕事が進むことが少なくない」。実際、テレワークを促進する総務省からも問題点が指摘された。こうした背景もあり、ヤフーやIBMなど先進的にテレワークに取り組んできた米企業が離脱する動きもある。

【表】IT企業の割合が大きい
情報通信・IT 38%
製造 16
情報サービス 6
サービス 5
アウトソーシング 3
建設 4
電気機器 4
不動産 4
保険 4
その他 16
(注)7月24日にテレワークを実施した922企業・団体のうち、100人以上の規模で実施した83企業の内訳

日本経済新聞

特定派遣

派遣業、許可の壁高く、法改正、業界の健全化めざす、「届け出」は来秋ゼロに、厚労省、2000社に廃業命令。

派遣元が常用雇用する人材を他社に派遣する「特定労働者派遣事業所」は2018年9月限りで派遣ができなくなる。15年の労働者派遣法改正で派遣業が許可制に一本化されたためで、届け出制だった特定派遣の事業所はピークの約7万からゼロになる。厚生労働省は休眠中の事業所に廃止を命じるなど監督を強化、新たな許可への壁も高い。派遣会社の集約で待遇改善が進めば働く人にメリットがあるが、他の働き方に移る人も出てきそうだ。

「許可基準通りに20平方メートルの事務所を借りる
など申請は大ごとだった。労働局のチェックも職員2人がかりで、ずいぶん厳密と感じた」。シムテック(東京・中央)の小林一男社長は振り返る。

シムテックは過去16年間、特定派遣としてIT(情報技術)技術者を客先に派遣してきた。特定派遣廃止を受け、3年の経過期間中に許可を取ろうと6月に準備を始め、10月中旬に許可を得た。

実際の同社の業務は請負契約が31人と主流で、派遣は3社向けに3人。それでも派遣業の許可を取ったのは「最近の大手取引先はコンプライアンスを重視し、契約が請負でも派遣業の許可を持つことを求めてくる」(小林社長)ためという。

ただ中小規模が大多数の特定派遣で、シムテックのように許可を得ようとする企業は少数だ。業界は今、廃業ラッシュ。15年9月に7万弱あった特定派遣事業所は17年8月に約5万5000と、約1万5000減った。

多数は条件未達
一方、同期間に新たに許可を取った元特定派遣事業所は約3700と廃業の4分の1。業界動向に詳しいエン・ジャパンの沼山祥史派遣会社支援事業部長は「日本の派遣事業所数は米国の数倍ある。猶予切れに向け減少していくだろう。特に経営者が高齢なら多くが廃業しそうだ」とみる。

派遣業の許可を得ることなく廃業が増える背景には、法改正を原因とする2つの理由がある。
1つ目は、派遣法7条と省令が定める許可条件を満たせない事業者が多いことだ。条件とは(1)おおむね20平方メートル以上の事務所がある(2)資産から負債を引いた基準資産が2000万円×事業所数以上ある(3)1500万円×事業所数以上の現金預金がある――などだ。

常用雇用の派遣労働者が10人以下なら基準を下げる措置はある。だが申請実態を知る社会保険労務士法人すばる(東京・中央)の佐藤敦規社労士は「ソフト技術者派遣が多い東京の零細特定派遣にはそれでもハードルが高い。相談は月に4~5社あるが許可申請に進むのは2社程度」と話す。

2つ目は、厚労省の監督強化だ。「派遣社員の雇用管理をきちんとしているか、性善説ではなく中身で判断する。営業実態がなければ退出してもらう」(審議官級幹部)が基本スタンスだ。

厚労省には、派遣業種の自由化が進んだ03年ごろから特定派遣を中心に事業所が年1万数千と爆発的な勢いで増え、監督が追いつかなくなった苦い経験への反省がある。違法派遣や二重派遣、派遣社員からの不透明な手数料徴収が横行。派遣先のほとんどが親会社という事業所も問題化した。休眠会社も廃止届を出さず、数だけが膨らんだ。

そこで厚労省はまず12年の法改正で、特定派遣の廃止命令について定めた21条(当時)の対象要件を拡張。それまで暴力団員の経営であるなど欠格事由がないと出せなかった廃止命令を、(1)関係会社への派遣割合が8割を超す(2)同割合が8割を超えないと証明する報告書を出さない――場合も命じられるようにした。

当時、改正を担当した幹部は、廃止命令要件の拡大に「親会社への8割超え派遣を抑制する他に、休眠会社を排除する二重の目的があった」と話す。(2)の報告書を出さない事業所を休眠中と推定し、提出指導に応じなければ、廃止命令を出すスキームだ。
15年の派遣法改正で、この規定は改正付則6条に移行。厚労省は10月にもこのスキームで45事業所に廃止を命じた。累計命令数はすでに2000強。牛島聡需給調整事業課長は「ルールにのっとり淡々と処分しており、社数減らしが目的ではない。対象のほぼ全てが休眠事業所で、経営者は、不利益処分を命ずる場合に行政手続法で開催が決められた『聴聞』にも出て来ない」と説明する。

72%に是正必要
厚労省には許可制への一本化を機に、業界全体の健全化を狙う意識が強い。東京労働局の16年度の指導監督では派遣事業所の72%に是正指導が必要で、業界全体が健全とはまだ言い難いからだ。許可を申請した事業者が「審査が厳しい」と感じるのは、現場の都道府県労働局に意識が共有されていることの表れだ。

15年の法改正では既存の事務所要件や財産要件にキャリア形成支援など新たな基準も加わり、許可のハードルが上がった。人手不足で人材募集が難しいことも相まって派遣料金の上昇も続いている。18年9月29日の経過期間切れに向け、業界は激変の時を迎える。

許可基準が厳格化
休業手当明文化など必要
特定派遣事業者が新たに許可を取るときの基準は、2015年の派遣法改正で厳格化された。中でも、派遣社員に対する年8時間程度のキャリア形成支援制度があることという新基準は、大部分の中小事業者に無縁だった内容。コストもかかり戸惑いが大きい。

無期雇用労働者を派遣する場合、派遣先企業との契約が終了したことだけを理由に労働者を解雇できる規定を設けていないことも、国会の付帯決議で基準に加わった。一定の場合、派遣社員に平均賃金の6割以上の休業手当を出すことも明文化しなくてはならない。派遣会社の就業規則や労働契約に踏み込む改正だ。

これと別に、5年を超えて雇用された有期労働者が申し出れば無期雇用に転換しなければならない労働契約法18条への対応も必要だ。労契法18条は18年4月で施行後5年となり、有期契約の反復で労働者を常用雇用して来たタイプの特定派遣事業所では、権利を行使できる派遣社員が出る可能性があるからだ。

申請ラッシュで混乱も起きそうだ。派遣法改正付則は手続きが遅れた場合、遅れた期間の営業を認めているので、18年9月29日でいきなり営業不能にはならないが、既に許可に3~4カ月待ちの都道府県もある。

必要な事業者数の確保可能
派遣法に詳しい生田正之・前厚生労働省職業安定局長の話 特定派遣は常用雇用労働者を派遣する仕組みで、労働者の雇用や暮らしが安定するため「入り口チェック」の届け出制でよいというのが派遣法の考え方だった。

その後、特定事業者が急増する中で、有期雇用が多く見られ、派遣契約が切られると社員を解雇してしまう事業者も現れた。休眠事業所も積み上がり、労使双方にとって望ましくない状態になった。許可制への一本化はその対策の面がある。

派遣には(1)派遣で働きたい人に雇用の場を提供(2)迅速なマッチング(3)雇用安定・労働条件向上(4)能力開発(5)直接雇用への転換、という5つの優れた機能がある。これらを実践できる事業者は許可を取るので、社会に必要な事業者数は確保できると思う。

特定労働者派遣事業 自社の常用雇用労働者を、相手先企業との契約に基づき派遣する派遣事業の一形態。労働者派遣法の規定により届け出で開業できた。派遣法にはもう一種、登録している労働者を契約のたびに雇って派遣する一般労働者派遣があり、こちらは許可制だ。ピーク時の事業所数は双方の合計で約8万7千。特定派遣が8割を占めたが、違法行為が目立ったため2015年の法改正で廃止され、許可制に一本化された。特定派遣は18年9月29日まで経過措置として営業できる。

日本経済新聞

賃金が増えない社員

  • 2017-11-14 (火)
  • news

賃金迷路 出世遅れ転職もできず、割を食う団塊ジュニア、「給料伸びぬ社員」比率増。

年功序列の賃金体系が崩れ、今の日本企業では長年働く社員ほど賃金が伸びにくくなっている。転機を迎えているのは40代。バブル期に採用された多くの先輩に阻まれて出世が遅れ、賃金も上がらない。人口構成から「賃金が増えない社員」の比率が上がってきたことが、統計上の賃金が伸びない一因になっている。

空かないポスト
「バブル世代が上に詰まっている。ポストが空かない」。都内のメガバンクに勤める男性がこうこぼす。1970年代前半に生まれた「団塊ジュニア」は今、40代半ば。かつては仕事に脂が乗るといわれた世代の多くが、今は「ずっとヒラ社員」の危機にある。

大和総研によると、2016年に40代で部長に就いている人の割合は2・5%、課長は11・2%。この比率は00年代後半から低下が目立ち、10年前より部長が1・6ポイント、課長は2・6ポイント下がった。全体では部課長の割合は横ばいから微減で、40代が割を食っている。

団塊ジュニアの40代は人数が多く、人件費に占める割合も大きい。「企業はボリュームゾーンの昇進を遅らせて、人件費の削減を図っている」(大和総研の小林俊介氏)。多くの企業は固定費に敏感で、人件費をかけてまでして部課長を増やす気はない。

部課長になっても、給料が増え続けるとは限らない。16年時点で企業の7割は、課長以上の管理職に仕事の中身に応じて給料を決める「役割・職務給」を採用している。99年の2割から大きく上がった。かわりに減ったのが「年齢・勤続給」。仕事で成果を残せなければ、賃金は増えない。

新卒の初任給は少しずつ増えてきた。企業は良い人材を採用するため、「入り口」を飾る。一方で転職を経験せず長く働く40代の社員は賃金が伸びにくい。結果として年齢順に賃金の水準を並べた「賃金カーブ」は傾きが緩やかになる。

バブルの後遺症
第2次安倍政権が動き出した12年12月以降、世代別にみて就業者に占める比率が目立って上がったのは65歳以上と、賃金が伸びにくい45~54歳だ。初任給の伸びにあやかる若手世代の構成比は下がっている。

賃金が伸びない40代。この世代が経験した90年代後半の就職活動は「氷河期」ともいわれ、厳しかった。

そこでやむなく非正規社員になった人は職場内訓練(OJT)によるスキルアップの機会も失った。スキルが乏しく転職できない人たちが、企業の賃上げ意欲を下げるとの指摘もある。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮崎浩氏によると、足元では人手不足感の強い業種ほど賃上げ率が低い傾向にある。「人手が足りない業種に、スキルが乏しく転職しにくい労働者が集まっている。経営者が賃上げの必要を感じていない」(宮崎氏)。日本総合研究所の山田久氏は「賃金上昇を伴う転職が活発にならないと、人材が低収益の事業にとどまる」とみる。

世の中で人手不足といわれても、すでに働く40代の賃上げにはつながらない。バブルの後遺症は、ここにもある。

日本経済新聞

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