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過労死ライン

残業上限、5割超が過労死ライン 朝日主要225社調査

225社が結んだ月間の協定時間
日経平均株価を構成する東証1部上場225社の過半数にあたる125社が今年7月時点で、「過労死ライン」とされる月80時間以上まで社員を残業させられる労使協定を結んでいたことが朝日新聞の調べでわかった。うち少なくとも41社が月100時間以上の協定を結んでいた。政府は、繁忙月でも月100時間未満に残業を抑える罰則付き上限規制を2019年度にも導入する方針。日本を代表する企業の多くが協定の見直しを迫られそうだ。

法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて社員を働かせるには、労働基準法36条に基づいて、残業時間の上限を定める協定(36〈サブロク〉協定)を労使で結ぶ必要がある。協定で定める上限を上回らなければ、どれだけ残業させても違法にならない。上限は、実際に社員に働かせた残業時間とは異なる。

主要225社の労使が昨年10月時点で結んだ36協定について各地の労働局に情報公開請求し、各社の本社(主要子会社を含む)が結んだ最も長い協定時間を調べた。入手した資料を元に今年7月時点の協定時間を各社の本社(同)に尋ね、179社から回答を得た。

情報公開請求と取材によると、月間の協定時間が80時間以上だったのは昨年10月時点で157社。全体の7割を占めた。7月時点でも回答があった179社のうち125社にのぼった。

月間の協定時間が100時間以上だったのは、昨年10月時点で全体の3割にあたる68社。7月時点でも、回答があった179社のうち41社にのぼった。

昨年10月時点で最長の月間の協定時間はIHIと関西電力の200時間で、日本たばこ産業(JT)の165時間が続いた。IHIは7月時点で150時間に引き下げたが、この時点でも大成建設、大林組などと並んで最も長かった。今年3月に大規模な残業代未払いが発覚した関電は、7月時点で80時間に引き下げた。

政府が導入を目指す残業の上限規制では、年間の上限を720時間(月平均60時間)とする方針だ。年間の協定時間も調べたところ、昨年10月時点で720時間を超える協定を結んでいたのは、全体の約3分の1にあたる73社。7月時点でも、回答があった178社のうち49社にのぼった。

昨年10月時点で最も長い年間の協定時間は関電の1800時間。7月時点では大成建設の1200時間で、大林組の1170時間が続く。関電は7月時点で960時間に引き下げた。

調査対象は7月時点の日経平均の構成銘柄とした。法定労働時間に基づく時間でも、企業が独自に定める所定労働時間に基づく時間でも届け出可能で、原則として届け出ベースで集計した。

朝日新聞デジタル

ブラック企業大賞2017

 

ブラック企業大賞2017、ノミネート発表 「NHK」「ヤマト運輸」「パナソニック」など9社

2016年は「電通」が大賞だった。

 
パワハラや残業代未払いなど、法令違反の企業について伝え、安心して働ける環境づくりをめざす「ブラック企業大賞」。11月27日、2017年度のノミネート企業が発表された。

名前があがったのは「日本放送協会(NHK)」、「ヤマト運輸」、「パナソニック」など9社。大賞は、ネットでの一般投票(11月27日17時〜12月22日17時)を経て、12月23日の授賞式で発表される。

なお、実行委では、「労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を意図的・恣意的に従業員に強いている企業」と、「パワハラなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人」を、「ブラック企業」と定義している。

 

ノミネートされたのは、裁判や行政処分などで問題があると明らかになった企業だという。

今年の問題の特徴は?

実行委員で都留文科大・非常勤講師の河添誠さんは、記者会見で「名指しで批判されないまま、企業が人を殺し続けているのが、この日本の現状だということです」と、ブラック企業大賞として企業名を挙げる意義について語った。

また、実行委員の佐々木亮弁護士は「政府が『働き方改革』を打ち出したこともあり、過労死・過労自殺の記者会見や報道が多かった」と話した。

 

なお例年、ノミネートされた企業には授賞式への招待状を送っているが、いまのところ出席した企業はないという。なお、大賞を受賞すると、副賞として「労働六法」が贈呈されるという。

2017年度にノミネートされた企業は以下の9社。

・ゼリア新薬工業株式会社

2013年5月、新人研修中に男性社員(22)が自殺し、2015年に労災認定を受けた。研修中に「強い心理的負荷」を受け、精神疾患を発症した。

・株式会社いなげや

2014年6月、スーパーの店舗チーフだった社員が倒れ、亡くなった。2016年6月に労災認定された。代理人によると、時間外労働は96時間におよび、サービス残業も行われていたという。

 

・パナソニック株式会社

2016年6月にパナソニックデバイスソリューション事業部の富山工場に勤務する40代男性社員が自殺。2017年2月に過労自殺と認定された。2016年5月の残業時間は100時間越えだったという。

・新潟市民病院

2016年1月、女性研修医(当時37)が自殺。月251時間も残業。2017年5月に過労自殺として労災認定。

・日本放送協会(NHK)

2013年7月、当時31歳だった女性記者がうっ血性心不全で死亡。2014年に過労が原因として労災認定された。時間外労働は月159時間に及んだという。

 

・株式会社引越社・株式会社引越社関東・株式会社引越社関西(アリさんマークの引越社)

営業職だった男性社員をシュレッダー係に配転したり、懲戒解雇を言い渡し、「罪状」として顔写真を張り出すなどした。都労委は、これらは労組に入ったことをきっかけにしたもので、会社の行為は「不当労働行為」と認定された。

・大成建設株式会社・三信建設工業株式会社

「新国立競技場」の工事で、三信建設工業の新人男性社員(当時23)が2017年3月に自殺し、10月に労災認定された。自殺前の時間外労働は190時間。元請けの大成建設も、行政指導された。

・大和ハウス工業株式会社

埼玉西支社の営業職だった20代男性に違法な時間外労働があったとして、2017年6月に労基署から是正勧告を受けた。2015年5月には109時間の時間外労働をしており、2016年5月に退職を余儀なくされた。

・ヤマト運輸株式会社

2016年12月、神奈川平河町支店のセールスドライバーへの残業代未払いで是正勧告を受けた。2017年5月にはパート従業員の勤務時間改ざんと賃金未払いがあったとして、西宮支店が是正勧告を受けた。また、17年9月には博多北支店のセールスドライバーに月102時間の違法残業をさせていたとして、法人と幹部社員が労働基準法違反の疑いで書類送検されている。

発表は今年で6回目。2016年度は11社がノミネートされ、広告代理店の「電通」が大賞に選ばれた。

ハフポスト日本版

雇用促進税制の廃止

雇用促進税制、廃止へ、賃上げ重視に転換、自民税調、設備投資優遇も拡大(税予算2018)

自民党税制調査会(宮沢洋一会長)は1日、非公式幹部会合を開き、2018年度税制改正の個別項目の扱いを決めた。雇用を増やした企業の法人税を減税する雇用促進税制は廃止する。一方で賃金を引き上げたり、設備投資を増やしたりした企業への減税を広げる。雇用情勢は回復しているため、今後は企業の賃上げに力点を置く。

各省庁の税制改正要望を査定した。通称「マルバツ」と呼ばれる選別作業で、14日にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む項目を絞りこんだ。所得税改革の増税対象者の線引きや、たばこ税の増税額や実施時期など、意見調整が済んでいない重要事項については今後も協議を続ける。

「3%以上」促す
法人税では雇用促進税制の廃止を決めた。現在は正社員を「5人以上かつ全体の1割以上」増やした企業の法人税を1人につき40万円減らしている。同制度は廃止し所得拡大促進税制を広げる。同制度は企業が賃上げした際に増加分の一部を法人税から控除できる仕組み。改正後は、3%以上賃上げした企業の税額控除を増やす方向だ。

設備投資に対する税優遇も増やす。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの新技術に対応した機器を導入した場合に、導入額の一部を法人税から差し引く。新型のセンサーやソフトウエアの導入を促し、技術革新を後押しする。中小企業向けでは新規に導入する機器の固定資産税の税率をゼロにする。固定資産税は赤字企業でも課税されるため、中小企業の税負担が軽くなる。

安倍政権は生産性革命や人づくり革命を推進しており、安倍晋三首相も「過去最大の企業収益を賃上げや設備投資に向かわせるため、あらゆる施策を総動員する」と主張している。雇用重視から賃上げや設備投資の拡充を目指す姿勢に軸足を移し、生産性の向上を促す。

中小企業が親族以外の企業や経営者にM&A(合併・買収)で事業承継する際の税制も見直す。土地や建物の取得にかかる不動産取得税や登録免許税を軽減して、承継しやすくする。

訪日消費後押し
外国人観光客の買い物需要を喚起するための税制措置も拡充する。訪日外国人が日本国内で買い物をした時に、衣料品や工芸品などの一般物品と、化粧品や食料品といった消耗品の購入が合計5千円以上なら消費税の免税対象にする。従来は一般物品と消耗品をそれぞれ5千円以上買う必要があったが上限50万円の範囲で免税枠を広げる。

観光庁によると、17年4月の免税店数は全国で4万532店。5年で約10倍に増えた。1~9月の訪日客の消費額は3兆2761億円を記録した。自民税調は出国時に1人当たり1000円を徴収する出国税(観光促進税)を新設し、インフラ整備などに充てる方針。同制度とあわせて観光振興を進める。

日本経済新聞

労災保険料率の引き下げ

労災保険料1300億円下げ、企業の子育て負担増を軽減。

厚生労働省は2018年度から労災保険料率を引き下げ、企業の負担額を現在より年約1300億円減らす方針を固めた。雇用保険料率の引き下げ分と合わせると、労働保険による企業の負担額は年3千億円規模で軽くなる。政府は企業側に子育て支援に充てる3千億円の追加負担を求めたが、今回の措置で負担感を和らげる。

労災保険料は全額が事業者負担で、3年に1回料率を改定する。現在の保険料率(全業種平均)は0・47%。前回改定では0・01ポイント下げ、年約280億円の負担軽減になった。労働事故が減り、保険財政も安定しており、今回は約1300億円を捻出する。12月中旬の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)に示す。

厚労省は今年度から3年間、労使折半で負担する雇用保険料の料率を0・8%から0・6%に引き下げる。企業側の負担はすでに年約1700億円を軽減している。政府が経済界に求める保育所整備などの負担は3千億円だが、労災保険料の下げで企業側に配慮する。

経団連の榊原定征会長は11月30日、政府の「人生100年時代構想会議」で子育て支援のための企業負担に同意した。安倍晋三首相はこの際、企業側の負担を和らげるため労働保険料率の引き下げを検討すると表明。人づくり革命に必要な財源は年2兆円としている。

人づくり革命の政策パッケージは幼児教育の無償化が柱だ。認可保育所は3~5歳は所得に関係なく一律で無償に、0~2歳は住民税非課税の低所得世帯に限り無償にする。対象には通常の保育所に加え、ベビーホテルや一時預かりなどがある。こうしたサービスをどこまで無償化するかについては、実態を調べて来年決める。

日本経済新聞

健康保険証の番号

健康保険証の番号、一人ひとつ割り当て、転職時、情報を継続管理。

厚生労働省は、健康保険証の番号を国民一人ひとりに割り当て、健康診断の情報を本人が継続して把握・管理できるシステムをつくる。新しい番号の保険証は2019年度から順次発行する予定だ。従業員の家族も新しい番号をもらえるようになる。継続して自分の診断情報をつかめるようにすることで健康への意識の向上を促し、医療費の抑制につなげる。

健康保険証の被保険者番号は基本的に世帯単位で割り振られている。加入する保険の運営者がそれぞれ番号を付けており、転職などによって加入する保険が変わると個人情報は引き継がれない仕組み。健康診断の情報も加入する保険ごとに途絶えがちなのが実情だ。

厚労省は19年度から新しい番号を記載した保険証を順次発行し、20年夏ごろからの本格運用を目指している。番号にひも付けされた健康診断の結果や病院の受診履歴を本人がインターネット上で閲覧できるようにする。

情報は診療報酬の事務を担う「社会保険診療報酬支払基金」などが一元的に管理する。将来は医療機関が患者の診療・服薬情報を共有できるようにするなど、情報の多重活用も想定している。

日本経済新聞

副業

副業しやすく、ルール修正、厚労省、本業との労働時間合算など検討、「働き方」整合性も課題。

複数の職場で働く人をめぐる就労管理のルールが変わる可能性が出てきた。厚生労働省は複数の勤務先での労働時間を合算する仕組みの見直しを考える。組織をまたぐ就労管理は実態に合わないだけでなく、従業員の副業を阻む要因になっているためだ。厚労省は心身に悪影響を及ぼす長時間労働を避けることにも配慮しながら、慎重に見直しを探っていく。

厚労省は労働関係法制に詳しい学者らでつくる会議で2018年に検討を始める予定。労働基準法を改める可能性を考えながら、労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の場で労使を交えて議論をする。早ければ20年の国会に法案を出し、21年に仕組みを変える。

いまの労基法は労働時間の管理について、労働者がいくつかの企業で働く場合にはすべて合計するのが前提だ。ある人がいくつかの企業で1日8時間といった法定時間を超えて働くと、法律の上では残業代がもらえることになっている。

例えば昼間に「本業」のA社で8時間、夕方以降に「副業」のB社で2時間働いている場合、法律の原則ではB社が残業代を支給する。わずか2時間しか働いていないB社が残業代を支給する義務を負い、B社のコストがかさんでしまう。こうしたルールの存在が日本で副業が広がらない一因とされている。

実際には「本業」と「副業」の企業がそれぞれの労働時間を互いに把握するのは難しい。そのため「ルールが有効に機能していない」(労働法に詳しい小西康之・明治大教授)という面もある。産業医の面談など従業員の健康管理にまつわる義務を、どちらの企業が果たすのかもあいまいになっている。

厚労省はこうした実態を踏まえルールの見直しが必要だと見ている。海外には労働者が自らを労働時間規制の対象外とすることを選べる制度などがある。同省は海外の事例も参考にしながら、いまの規定をどう改めるか議論していく。

長時間労働を無くそうと政府が旗を振る「働き方改革」とどう整合させるかも課題になる。政府は早ければ19年度にも残業時間に年720時間といった上限規制をつくる。仮に勤務先ごとに完全に別々の就労管理になれば、ある労働者がいくつかの職場をまたいで異常な長時間労働を続けても、外部から見つけにくくなってしまう。

離職せず別の仕事に挑める「副業」はキャリアや技能の向上につながる利点がある。半面、「本業」がおろそかになるなどの懸念が経営側に強い。

中小企業庁の14年度の調査では企業の85・3%が副業を認めていない。政府は人々が副業にも取り組みやすい環境づくりを目指している。

日本経済新聞

未払い残業代を支給

電通「残業代」23億円支給へ…社員自己申告で

違法残業事件で有罪判決が確定した大手広告会社・電通(東京)が、事実上の未払い残業代として計約23億円を社員に支給することが、同社への取材でわかった。

社員の自己申告に基づいて勤務時間を改めて精査した結果で、一時金として支払うという。

同社によると、2015年4月から今年3月の間で、業務の性格が強いにもかかわらず、労働時間として申告しなかったものがあれば、自己申告するよう社員に指示した。その結果、業務と認められるケースが多数判明。17年1~9月期連結決算で「勤務時間に関する一時金」として23億6700万円を計上した。来月中に該当者に支払う方向で、調整しているという。

同社は昨年末の記者会見で、入力された社員の終業時間と、実際の退館時間に1時間以上の乖離(かいり)があったケースが、15年は月平均約8200件に上り、労働時間の「過少申告」が横行していたと説明。自己啓発や情報収集名目で、職場に残る社員が多数いたとしていた。

読売新聞

基礎控除、年金控除、給与所得控除の改正

  • 2017-11-26 (日)
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所得税、手探りの改革、3控除一体見直し、政府・与党、あす議論本格化。

政府・与党は27日から2018年度税制改正の本格的な議論に入る。焦点の所得税は、家族構成の変化や多様な働き方に即した税制に改めるのが課題だ。会社員向けの給与所得控除、年金受給者にかかる公的年金等控除、全ての納税者に適用される基礎控除を一体で見直す方向。ただ高所得者の反発も予想され、世論の理解を得られるか手探りの始動となる。

働き方の変化にらむ
所得税改革は、家族構成や働き方など社会の変化にどう対応するかを課題としている。17年度税制改正では働く女性の増加を踏まえ、専業主婦を優遇する配偶者控除を見直した。

自民党税制調査会の宮沢洋一会長は「20年度改正を視野に入れる」と述べ、3年程度の時間をかけて中身を詰め、実現時期を探る考えを示した。

初動となる18年度は基礎控除、年金控除、給与所得控除を一体で再点検するのがポイント。特定の働き方や収入に即して控除するのでなく、どんな働き方でも公平に差し引く仕組みとするのが狙いだ。

基礎控除は減税
基礎控除の見直しは減税策だ。現在は一律38万円だが、与党は50万円程度に引き上げる案を軸に検討する。引き上げによる税負担減の恩恵は幅広い層に及ぶが、問題は公平性。現在の課税方式では高所得者ほど税負担の軽減額が大きくなる。年収2500万円を超えるような高所得者の場合は、段階的に基礎控除をゼロにする案も検討する。

基礎控除は全ての人が対象。仕組みを簡素にしながら、特定の働き方によらずに全ての人に恩恵が行き渡る。基礎控除で減税する一方、会社員や年金受給者など対象を特定した控除は縮小する。

給与控除を縮小
給与所得控除は、多様な働き方を踏まえた見直しを進める。フリーランスや独立起業する若年層が増えているのに、同控除では優遇の対象外。今後の検討で基礎控除を引き上げた場合、増額分を一律引き下げる方向だ。そのうえで、現在は収入1000万円で220万円の控除上限を、800万~900万円台で188万円程度に下げる案が浮上している。

高所得者は負担増になるが、子育て世帯の負担増は避ける。増税分の還付や、扶養控除(16~18歳)などへの上乗せ、年少扶養控除(16歳未満)の復活などの案もあるが、対象をどの年齢に絞るかも含め制度設計を急ぐ。給与所得控除を見直せば、高所得の会社員は増税になる。これまでも増税が相次いだ層だけに強い反発も予想される。

年金控除に上限
厚生年金や企業年金など年金収入に応じて一定額を差し引く年金控除も、基礎控除の引き上げ分と同額だけ一律に引き下げる。年金収入1千万円超を目安に上限を設ける。年金以外の収入が多い場合は、年金控除額を減らす案も議論する。

給与所得控除と年金控除の両方を受けている人の扱いも課題。基礎控除を引き上げた場合、それぞれの控除から引き上げた分を引くので、二重に増税されることになる。この場合は、どちらか一方の減額にとどめる。

ただ高所得の高齢者の税負担増は、高齢者の勤労意欲をそぐ恐れがある。22日の自民党税調の会合では「高所得者の増税は稼ぐ行為を抑制してしまう」との意見が出た。働く高齢者は今後も増える。社会保障制度改革とあわせた議論が必要だ。

所得税改革は個人の実入りに直結するだけに、特定の層から異論が出やすい。宮沢氏も「所得税改革は難しい。相当慎重に議論をしないといけない」と話す。
高所得者に負担増、働く意欲しぼむ懸念も。

最近では高所得者の負担は増える傾向にある。税制では給与所得控除の上限縮小や高所得者の配偶者控除撤廃などを進めているからだ。

現行制度をもとにした大和総研の試算によると、年収1500万円の片働き4人世帯の実質可処分所得は2017年からの3年で約28万円減る。11~20年の変化をみてもこの年収層の所得減は大きい。税の負担増の直撃を受けている形だ。

これまで過度な優遇が続いたとの見方もあるが、高所得者の狙い撃ちが続けば、働く意欲を失わせ、経済の活力維持にも影響が出る。人手不足が深刻になる中、働く高齢者の勤労意欲も阻害しないほうがよい。

大和総研の是枝俊吾氏は「子どもや配偶者がいるかどうかで負担感も変わる。同じ所得水準の人たちの間で公平な税制とすべきだ」と指摘する。

18年度改正で見直しを決めると、実際に個人の負担が変わるのは19年1月以降となる。ちょうど参院選や消費税率10%引き上げの直前だ。今年10月の衆院選で自民党は圧勝したが、議論をやすやす進められるわけではない。

財務省幹部は「複数の控除を同時に改正するのは戦後初めてでは」と話す。それだけハードルは高く、財務省も今回の控除見直しにより、負担増と負担減が同額になる税収中立をめざす考えだ。増税になる人は実際には数%とみられる。

日本経済新聞

金融機関の人事評価

銀行、脱「ノルマ偏重」、三井住友など、評価見直し、働き方や生産性を重視。

金融機関が成果重視型の人事評価を見直し始めている。これまでは営業ノルマの達成度に軸足を置いていたが、業務効率化など働き方改革や生産性向上への取り組みを重んじる。銀行は金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックの浸透で店舗中心の営業手法の修正を迫られ、リストラに取り組んでいる最中。時代にあわせた多様な人材の確保を急ぐ。

働く時間を減らせば評価します――。三井住友銀行は今年度から、働き方改革の取り組みを個人の評価項目に加えている。従業員一人ひとりに行動計画を作らせ、不要な業務の削減や労働時間を減らすための取り組みを明記してもらう。上司が期末に達成度を3段階で評価し、賞与や基本給に反映する。

人海戦術限界に
銀行といえば、ノルマ営業。貸し出しや投資信託の販売など成果や業績がほぼ評価のすべてだった。しかし、人口減に伴う国内市場の先細りで、人海戦術で収益をあげるビジネスモデルは限界に近づいている。一般企業と同じく、働く人のやる気を引き出しながら、どう収益力の向上につなげるかを課題とする。

みずほフィナンシャルグループも今年度から、目標管理の中に業務効率化への取り組みを入れるよう義務付けた。会議のペーパーレス化や話し合う時間の短縮などだ。オリックスも今年度、短時間で成果を上げた人を高めに評価する仕組みを導入した。効率よい働きを求める。

若手には目先のノルマだけでなく、銀行員として成長する姿勢も求める。みずほ銀行は今年度、営業に使うスキルを伸ばした人を評価する仕組みを取り入れた。英語でのプレゼンテーションなど、業務遂行能力を高めた若手を評価する。

りそなグループも顧客満足度を支店評価の優先項目に位置づけた。

業務効率化急ぐ
日本の金融機関の生産性は低い。日銀によると、日本の大規模金融機関の経費率は70%程度。海外と比べ5ポイントほど高い。職員1人当たりの業務粗利益も欧州勢などに劣る。国内の業務効率化は収益に直結する。三菱UFJフィナンシャル・グループはデジタル化で2023年度までに業務量を3割減らす目標を立てた。個人の実績評価でも「生産性」を取り入れている。

他の業界でも、各社は人事評価の仕組みを変え、生産性向上につなげようと競う。大和ハウス工業は3年前、支店単位で決める賞与の算定基準を「社員1人当たり利益」から「社員が働いた1時間当たりの利益」に切り替えた。残業時間は2割以上減ったという。

日本経済新聞

正社員不足

正社員不足、過去最高の49.1%に上昇

正社員・非正社員の「不足」割合~時系列~

有効求人倍率の上昇や失業率の低下など労働市場が逼迫するなかで、求職者側では明るい材料となっている。一方で、企業にとって人手不足の状態が続くことで人件費上昇などコスト負担の高まりに直面し、今後の景気回復に足かせともなりかねない。こうしたなか、人口減少と産業構造の変化で、働き手の奪い合いが生じており、アベノミクスの成長戦略を進めていくなかで、人手不足が大きな懸念材料ともなっている。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年10月調査とともに行った。

※調査期間は2017年10月18日~31日、調査対象は全国2万3,235社で、有効回答企業数は1万214社(回答率44.0%)

調査結果

1.正社員が不足している企業は49.1%と5割近くに達した。3カ月前(2017年7月)から3.7ポイント増、1年前(2016年10月)から7.3ポイント増加した。正社員の人手不足は、2006年5月の調査開始以降で過去最高を更新した。業種別では「情報サービス」が70.9%と7割を超え、トップとなった。以下、「メンテナンス・警備・検査」や「運輸・倉庫」「建設」など6業種が6割台となった。不足企業が60%以上の業種は3カ月前より増加し、企業の人手不足感は一段と深刻度を増している。規模別では、大企業ほど不足感が高く、大企業の積極的な採用活動が中小企業の人材確保に大きな影響を与える要因になっている

2.非正社員では企業の31.9%が不足していると感じている(3カ月前比2.5ポイント増、1年前比4.7ポイント増)。業種別では「飲食店」「飲食料品小売」「人材派遣・紹介」「メンテナンス・警備・検査」などで高い。上位10業種中5業種が小売や個人向けサービスとなっており、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高い。正社員と同様に、規模の大きい企業ほど不足感が強くなっているなか、「中小企業」の不足感も一段の高まりを見せている

「情報サービス」は7割超の企業で正社員不足

「TDB景気動向調査」(帝国データバンク)によると、10月の国内景気は、世界経済の回復が続くなか機械や電子部品の輸出が好調だったほか、旺盛な建設投資も加わったことで製造業の景況感は過去最高を更新した。さらに、訪日外国人客の消費拡大や株式市場の活況もあり、国内景気は回復が続いた。

今回の調査では、企業の49.1%が正社員の不足感を抱いている結果となった。とりわけ「情報サービス」では7割超の企業で正社員が足りておらず、さらに「メンテナンス・警備・検査」や「運輸・倉庫」「建設」など6業種でも6割以上に達した。人手不足を感じる企業は一段と広がっている状況が浮き彫りとなった。

また、非正社員では、「飲食店」の8割超が人手不足を感じていた。さらに、「飲食料品小売」が6割を超えたほか、「人材派遣・紹介」や「メンテナンス・警備・検査」、百貨店やスーパー、コンビニなどを含む「各種商品小売」など5業種で5割を超えている。特に、上位10業種中5業種が小売・個人向けサービスとなっており、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高い。

とりわけ、「メンテナンス・警備・検査」と「運輸・倉庫」の2業種は正社員と非正社員の両方で上位にあがっており、雇用形態にかかわらず人手不足が深刻化している様子がうかがえる。

大企業の56.4%が正社員の人手不足を感じているなかで、大企業の積極的な採用活動が中小企業の人材の確保・維持に大きな影響を与える要因となっている。こうしたあおりを受けて、正社員の不足感は小規模企業においても4割以上が不足と感じており、人手不足が従業員数の少ない企業でも深刻化している実態が明らかとなった。

人手不足倒産が増加傾向を示すなか、企業の人手不足は深刻度を増している。景気の回復とともにひっ迫する労働市場において、とりわけ中小企業は賃金上昇による企業収益と人材確保のバランスが一段と大きな経営課題となっている。働き方改革を進めるなかで、経済の好循環を強化することで、中小企業の収益改善へとつながる政策が重要性を増しているといえよう。

帝国データバンク

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