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働き方改革

働き方改革に悩む 定時退社、どうすれば…、飲む?それとも学ぶ?、英会話・資格取得…、企業後押し(くらし)

 働き方改革で早く退社できるようになったものの、何をしていいか分からない――。仕事中心の生活を続けてきた世代には、残業削減で突然生まれた自由な時間の使い方に悩む人が少なくない。そうした社員を抱える企業では、就業後の時間を有意義に使えるよう、学びの場を提供する動きも出てきた。

 水曜午後6時すぎ。エネルギー関連企業に勤める男性管理職Aさん(44)は、いつもより2時間以上早く会社を出る。会社が定めるノー残業デーだ。

 会社を出て向かう先は、「飲み会かパチンコ」。家では共働きの妻と小学生の子ども2人が待つが、「早く帰ると家事や子どもの世話を手伝わないといけなくなる」のが面倒で、時間をつぶしてから帰宅する。「同僚もノー残業デーの夜は自分と同じような感じ。自己啓発をしている人は見たことがない」と話す。

「居場所がない」
 働き方を見直し、生まれた時間を活用することで、ワーク・ライフ・バランスの向上や自己研さんを目指す働き方改革。育児や介護と仕事の両立はしやすくなる一方、家と職場の往復を続けてきた人からは、「やることがない」「居場所がない」との声も聞こえる。

 「長時間働くのが美徳とされた時代に育った世代は、働き方改革の必要性を実感していない人が依然多い」と大手メーカーの人事担当者は打ち明ける。

 キャリア形成が企業任せになりがちで、主体的に学ぶ習慣が根づいてないこともある。日本生産性本部が2016年6月に「ライフスタイルと働き方に関する実態調査」で働く人2000人に自己啓発への意識を聞いたところ「取り組むつもりはない」が最多で、4割近くに達した。

 自分にあった時間活用法をいかに見つけるか。東京ガスの原料部で管理職を務める村田治子さん(45)は4月の異動をきっかけに、生活をガラリと変えた。

 原料調達の担当となり、英語での交渉が不可欠になった。「英語検定試験の勉強はしていたが会話は苦手。毎日話さないと上達しないと思い、インターネットで英会話を習い始めた」

 午前4時半に起きて出社前に毎日1時間、英語の勉強時間を確保することに。午後9時すぎまで会社にいた生活は一変。遅くても午後7時には退社し、午後10時半までに就寝する。週1回、退社後にゴルフレッスンにも通い始めた。「英語の時間を確保しようと工夫したら、時間を有効に使えるようになった」と話す。

 「お父さん、痩せて」。中学3年の娘の言葉で平日夜の過ごし方が変わったのは帝人で情報分析業務にあたる森貞和仁さん(52)。当時170センチ、75キロ。運動しなくてはと思っていた。社内で働き方改革の機運が高まる中、娘の言葉で「スイッチが入った」。

「仕事に好影響」
 朝は定時より1時間早く出社し、終業時刻の午後5時45分に退社。家で夕食を済ませると、70分かけて毎日7キロ、ウオーキングをする。半年で6キロの減量に成功。「きびきび動けるようになり、業務も効率的にこなせるようになった。仕事にも好影響が出ている」

 社員の時間活用を支援する企業も。日本生命保険は5月から「ニッセイアフタースクール」を始めた。
 ファイナンシャルプランナーなどの資格取得や、管理職向け自己啓発セミナーなど9講座を、ノー残業デーの夜などに社内で開講。参加希望者は多く、約1200人が受講した。「会社が学びの場を提供することは、時間を有効に使ってほしいという社員へのメッセージになる」と久我展功人材開発室長は話す。

 2年前から働き方改革に取り組むジュピターテレコム(東京・千代田)は、通信教育の受講費や資格取得費用を支援する制度でスキルアップを促す。
 経理職の北沢一麿さん(41)は、昨年秋、情報セキュリティマネジメントの資格を取得した。以前は深夜まで働くことも珍しくなかったが、業務の効率化が進み定時に帰れることも増えた。「一人暮らしで当初は時間をもてあましていたが、次第に何か始めようと思うようになった」

 会社の資格取得奨励制度を活用し、昨年夏から勉強を開始。同年10月の試験で合格した。「受かれば費用を会社に出してもらえる。楽な気持ちで挑戦できた」。時間の使い方を工夫することで生活も意識も変わった。「これからも自主的に勉強していきたい」

仕事環境 急激に変化
求められる学習意欲

 AI(人工知能)などのテクノロジーの進歩やグローバル化で仕事環境が急速に変化している。「企業が求める社員像は、いわゆる仕事人間から自ら学ぶ人材へと大きく変化している」と中央大学大学院の佐藤博樹教授は指摘する。

 「これからの働き手に求められるのは、柔軟性と好奇心と学習意欲。自ら考え、変化に対応していく力がないと活躍し続けるのは難しい」。働き手は定期的にキャリアを棚卸しして、自分が学ぶべきことを考え行動する姿勢が求められる。

 組織内でこうした機運を高めるには、有意義に時間を使っている社員をロールモデルとして社内報で共有するなど、会社が求める人材像を明確に示すことが有効。時間をうまく使えない社員に対しては、学びの場や自己研さんに関する情報を提供するなど、「社員の背中を押す取り組みが重要だ」と佐藤教授は話す。

日本経済新聞

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