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基礎控除、年金控除、給与所得控除の改正

  • 2017-11-26 (日) 21:38
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所得税、手探りの改革、3控除一体見直し、政府・与党、あす議論本格化。

政府・与党は27日から2018年度税制改正の本格的な議論に入る。焦点の所得税は、家族構成の変化や多様な働き方に即した税制に改めるのが課題だ。会社員向けの給与所得控除、年金受給者にかかる公的年金等控除、全ての納税者に適用される基礎控除を一体で見直す方向。ただ高所得者の反発も予想され、世論の理解を得られるか手探りの始動となる。

働き方の変化にらむ
所得税改革は、家族構成や働き方など社会の変化にどう対応するかを課題としている。17年度税制改正では働く女性の増加を踏まえ、専業主婦を優遇する配偶者控除を見直した。

自民党税制調査会の宮沢洋一会長は「20年度改正を視野に入れる」と述べ、3年程度の時間をかけて中身を詰め、実現時期を探る考えを示した。

初動となる18年度は基礎控除、年金控除、給与所得控除を一体で再点検するのがポイント。特定の働き方や収入に即して控除するのでなく、どんな働き方でも公平に差し引く仕組みとするのが狙いだ。

基礎控除は減税
基礎控除の見直しは減税策だ。現在は一律38万円だが、与党は50万円程度に引き上げる案を軸に検討する。引き上げによる税負担減の恩恵は幅広い層に及ぶが、問題は公平性。現在の課税方式では高所得者ほど税負担の軽減額が大きくなる。年収2500万円を超えるような高所得者の場合は、段階的に基礎控除をゼロにする案も検討する。

基礎控除は全ての人が対象。仕組みを簡素にしながら、特定の働き方によらずに全ての人に恩恵が行き渡る。基礎控除で減税する一方、会社員や年金受給者など対象を特定した控除は縮小する。

給与控除を縮小
給与所得控除は、多様な働き方を踏まえた見直しを進める。フリーランスや独立起業する若年層が増えているのに、同控除では優遇の対象外。今後の検討で基礎控除を引き上げた場合、増額分を一律引き下げる方向だ。そのうえで、現在は収入1000万円で220万円の控除上限を、800万~900万円台で188万円程度に下げる案が浮上している。

高所得者は負担増になるが、子育て世帯の負担増は避ける。増税分の還付や、扶養控除(16~18歳)などへの上乗せ、年少扶養控除(16歳未満)の復活などの案もあるが、対象をどの年齢に絞るかも含め制度設計を急ぐ。給与所得控除を見直せば、高所得の会社員は増税になる。これまでも増税が相次いだ層だけに強い反発も予想される。

年金控除に上限
厚生年金や企業年金など年金収入に応じて一定額を差し引く年金控除も、基礎控除の引き上げ分と同額だけ一律に引き下げる。年金収入1千万円超を目安に上限を設ける。年金以外の収入が多い場合は、年金控除額を減らす案も議論する。

給与所得控除と年金控除の両方を受けている人の扱いも課題。基礎控除を引き上げた場合、それぞれの控除から引き上げた分を引くので、二重に増税されることになる。この場合は、どちらか一方の減額にとどめる。

ただ高所得の高齢者の税負担増は、高齢者の勤労意欲をそぐ恐れがある。22日の自民党税調の会合では「高所得者の増税は稼ぐ行為を抑制してしまう」との意見が出た。働く高齢者は今後も増える。社会保障制度改革とあわせた議論が必要だ。

所得税改革は個人の実入りに直結するだけに、特定の層から異論が出やすい。宮沢氏も「所得税改革は難しい。相当慎重に議論をしないといけない」と話す。
高所得者に負担増、働く意欲しぼむ懸念も。

最近では高所得者の負担は増える傾向にある。税制では給与所得控除の上限縮小や高所得者の配偶者控除撤廃などを進めているからだ。

現行制度をもとにした大和総研の試算によると、年収1500万円の片働き4人世帯の実質可処分所得は2017年からの3年で約28万円減る。11~20年の変化をみてもこの年収層の所得減は大きい。税の負担増の直撃を受けている形だ。

これまで過度な優遇が続いたとの見方もあるが、高所得者の狙い撃ちが続けば、働く意欲を失わせ、経済の活力維持にも影響が出る。人手不足が深刻になる中、働く高齢者の勤労意欲も阻害しないほうがよい。

大和総研の是枝俊吾氏は「子どもや配偶者がいるかどうかで負担感も変わる。同じ所得水準の人たちの間で公平な税制とすべきだ」と指摘する。

18年度改正で見直しを決めると、実際に個人の負担が変わるのは19年1月以降となる。ちょうど参院選や消費税率10%引き上げの直前だ。今年10月の衆院選で自民党は圧勝したが、議論をやすやす進められるわけではない。

財務省幹部は「複数の控除を同時に改正するのは戦後初めてでは」と話す。それだけハードルは高く、財務省も今回の控除見直しにより、負担増と負担減が同額になる税収中立をめざす考えだ。増税になる人は実際には数%とみられる。

日本経済新聞

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