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外国人労働者の就労拡大

  • 2018-12-09 (日) 21:14
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外国人労働者の就労拡大 改正入管法 14業種、

 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案は8日未明にも参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立する。人手不足解消のため、一定の技能を持つ外国人や技能実習修了後の希望者に新たな就労資格を与える。これまで認めてこなかった単純労働に門戸を開く。日本の外国人労働者を巡る大きな政策転換となる。

 政府・与党は7日中に法案を成立させる方針だった。立憲民主党をはじめ野党5党派は山下貴司法相や安倍晋三首相の問責決議案を参院に提出して抵抗。与党などは7日夜の参院本会議で各問責決議案を否決した。

 参院法務委員会の法案採決は8日未明にずれ込み、与党などの賛成多数で可決した。日本人の労働条件に配慮する付帯決議も与党や国民民主党などの賛成で採択した。法案は直後に開く参院本会議で成立する。

 入管法改正案は2019年4月の施行を予定する。在留資格「特定技能」を2段階で新設。「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ人に与える「1号」は最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば得られる。在留期間は通算5年で家族帯同は認めない。農業や介護など14業種で受け入れを想定する。

 1号での受け入れ人数は5年間で最大34万5150人を目安にする。詳細の数字や受け入れ業種は分野別の運用方針に記す。さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人に与える「2号」は1~3年ごとなどの期間の更新ができる。更新時の審査を通過すれば更新回数に制限はなく、長期就労も可能だ。家族の帯同も認める。
 技能実習や1号とは異なり、2号での滞在期間は永住権取得の要件の一つである「5年の就労期間」に算入する。特定2号の導入を検討していた「建設」「造船」の2業種は数年は見送る。

 政府は大学教授やエンジニア、経営者など高度に専門的な職業にのみ、就労目的の外国人を受け入れてきた。事実上、単純労働を担ってきた技能実習生や留学生は就労を前提としていない。

 日本鉱業協会の関口明会長(DOWAホールディングス社長)は11月の記者会見で「日本全体の人手不足が緩和することは歓迎する」と語った。

入管法改正案が成立する見通しになったのを受け、外食や介護など関連業界は受け入れ体制づくりを本格化する。人手不足を補う手段として期待する一方、十分な意思疎通ができるか、などの不安もある。

 特定技能1号の対象に指定された業種は資格取得時の試験などを準備する必要がある。外食の業界団体である日本フードサービス協会は月内に試験問題の作成へ向け態勢を整える。高岡慎一郎会長は「衛生管理や食材の知識などを問うことになるだろう」と言う。
 SOMPOホールディングス傘下の介護大手、SOMPOケア(東京・品川)の奥村幹夫会長は「介護には高度なコミュニケーション能力が必要」と主張。「いずれは外国人材の手を借りる必要が出てくる」と予想する。

 海洋土木大手、五洋建設の清水琢三社長は「人手が足りないことは間違いない。日本人と同様の給与を払ってでも来てほしい(ほどの能力のある)人材に来てもらえる制度になってほしい」と言う。
 造船大手の三井E&S造船は岡山県などの造船所で約160人のインドネシア人実習生を受け入れている。苦労して育てた実習生を戦力として生かせる期間が長くなる。

日本経済新聞

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